【経営者の羅針盤】経営指針書は「義務」ではない。「未来を創る地図」である


【経営者の羅針盤】経営指針書は「義務」ではない。「未来を創る地図」である

導入:なぜ、私たちは”地図”を必要とするのか?

中小企業の経営者様が抱える課題の一つに、「経営の方向性」をどう明確にし、どう組織全体に浸透させるか、という問いがあります。この問いの答えとなるのが、今回テーマとする「経営指針書」です。
しかし、残念ながら「すべての経営者が作成しているかといえばそうではない」のが現実です。
私たちは、経営指針書を「作成しなければならない義務」として捉えるのではなく、「未来を託す若者や子どもたちのために、私たちが進むべき道を示す地図」として捉え直すことが重要だと考えます。
この地図を持つことが、社長自身が「社長本来の役割」に専念できる「本来の居場所」を作り出すための土台となるのです。
本記事では、経営指針書をすでに作成している経営者様へはその本質的な価値の再確認を、これから取り組みたいとお考えの経営者様へは具体的なスタートラインをご提案します。
 

経営指針書とは何か?

経営指針書(経営方針書、事業計画書なども含めた共通言語)とは、「会社が何のために存在し、どこへ向かい、そのために今期何をすべきか」を明文化した事業の羅針盤です。
これは、社長の頭の中にあるビジョンを、社員全員が共有し、日々の判断基準とするための最上位のルールブックであり、具体的には以下の要素で構成されます。
1.経営理念(Purpose/Mission): 会社の存在意義と使命
2.ビジョン: 将来目指す理想の姿
3.経営方針(具体的な戦略):ビジョンを実現するために、いつ、どこで、誰に、どのような商品・サービスを提供し、どのような組織体制で臨むか、という具体的な方向性を示すもの
4.行動計画: ビジョン達成のための今期のアクションプラン、数値目標
この指針書を持つことが、社長自身が「社長本来の役割」に専念できる「本来の居場所」を築く土台となります。
 

フェーズ1:【作成済みの経営者様へ】指針書を「機能」させるための3つの視点

すでに経営指針書を作成している経営者様は、その重要性を理解し、一歩先を行っている方々です。しかし、作成した「書面」が、単なる年度末の報告書になってはいないでしょうか?
あなたの「経営指針書」を、組織の「生きた羅針盤」として機能させるために、以下の3つの視点から再点検してみてください。
1. 浸透性:理念は「語り継がれている」か?
指針書の内容が、社長の頭の中や、分厚いファイルの中に留まっていては意味がありません。
☑問いかけ: 社員一人ひとりが、自分の日々の業務と指針書のMission(使命)がどのように繋がっているかを説明できますか?
☑行動: 指針書を全社員で読み込み、具体的な行動レベルに落とし込むための「対話の時間」を意図的に設けてください。

2. 実行性:夢を「数値」と「期限」に落とし込んでいるか?
「良い会社にする」「成長する」といった抽象的な目標だけでは、行動は変わりません。
☑問いかけ: あなたの掲げるPurposeやVisionは、具体的なKGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)と連動していますか?
☑行動: 理想とする未来(目標)から逆算し、今期の具体的かつ測定可能なアクションを計画書に明記し、進捗をチェックする仕組みを構築してください。

3. 更新性:環境変化を「織り込んでいる」か?
指針書は一度作ったら終わりではありません。外部環境は常に変化しています。
☑問いかけ: 半年前に作成した指針書は、今日の市場や社会の状況を正しく反映していますか?
☑行動: 四半期ごとなど定期的に時間を確保し、指針書のレビューと微調整を行うための「戦略的な立ち止まりの時間」を設けてください。
 

フェーズ2:【これから作る経営者様へ】最初の一歩を踏み出すために

「作りたいけど何から手をつけたらいいか分からない」「忙しくて時間が取れない」と感じている経営者様も多いでしょう。
経営指針書作成の最大の壁は、「時間を確保し、思考を整理すること」です。
以下の3つのステップで、最初の一歩を踏み出しましょう。
1. 「未来を託す誰か」から逆算する
指針書作成の起点は、「何のために事業を行うのか(Purpose)」を明確にすることです。
☑質問:「未来を託す若者や子どもたち」が誇れる会社とは、具体的にどのような会社ですか?
☑行動:まずは「経営理念(Purpose・Mission・Vision)」の3点を、誰にでも伝わるシンプルな言葉でA4一枚に書き出してみてください。
2. 「壁打ち相手」を見つける
社長一人の頭の中で思考を完結させようとすると、客観性を欠いたり、途中で行き詰まったりします。
☑行動: 外部の専門家(私たちのようなコーチ)を「客観的な壁打ち役」として活用してください。第三者の視点が入ることで、あなたの思考は整理され、本質的な課題に気づくことができます。
3. 「非日常の場所」で集中する
日常業務から離れ、集中して指針書作成に取り組む環境が必要です。
☑行動: 携帯電話やPCから離れ、自然の中など「非日常の空間」を確保し、集中的に思考する「1Day」をスケジュールに組み込んでください。これは未来を創る社長の最重要業務です。
 

経営指針書を策定する3つのメリット

【会社(組織)にとってのメリット】

1. 組織全体に統一された判断基準が生まれる
指針書は、全社員が共有すべき「会社の憲法」となります。「うちの会社は何を大切にしているのか」「次に何を優先すべきか」といった判断軸が明確になるため、社員一人ひとりが自律的に、かつ同じ方向を向いて行動できるようになります。結果として、組織全体の生産性とスピードが向上します。

2. 採用・育成のミスマッチが激減する
明確なMissionやVisionは、会社が求める人材像を具体的に示します。指針書を公開することで、その理念に共感した人材が集まりやすくなり、採用活動におけるミスマッチを防ぎます。また、社員の育成においても、目指すべき理想像が明確なため、教育目標の設定が容易になります。

3. 事業継続性(レジリエンス)が高まる
外部環境が変化した際や、予期せぬ問題が発生した際に、「我々のPurpose(存在意義)は何か」という根幹に立ち戻れる軸があることは、企業が困難を乗り越えるための強靭な精神的な柱となります。これが、企業の事業継続性と持続的な成長を支えます。
 

【経営者にとってのメリット】

1. 精神的な負担の軽減と孤独からの解放
指針書が明確であれば、社長個人の頭の中だけで全てを把握・判断する必要がなくなります。判断の基準が外部化・明文化されることで、精神的な負担が軽減されます。また、指針を共有することで社員との連帯感が生まれ、経営者が感じる孤独感から解放されます。

2. 社長本来の役割に専念できる「時間」の創出
指針書がないと、社長が日常の細かい業務判断に巻き込まれがちです。指針書を基に権限委譲や業務標準化を進めることで、社長は本来注力すべき「戦略立案」「ビジョンの提示」といった創造的かつ本質的な役割に、より多くの時間を割けるようになります。

3. 事業への確信(腹落ち感)が高まる
指針書を作成する過程で、自己のPurposeと事業が真に結びついているかを深く内省します。このプロセスを経て完成した指針書は、社長の「腹落ち感」となり、経営への確信と揺るがない自信を生み出します。

 

結論:指針書は、社長の「本来の居場所」を築く土台

経営指針書は、組織を導く羅針盤であると同時に、社長ご自身が「社長本来の役割」に専念するためのセーフティネットでもあります。
指針書が明確であればあるほど、日常業務の判断基準が明確になり、社長は「戦略の立案」「ビジョンの提示」といった、本来行うべき重要な仕事に時間を使うことができます。
あなたの「本来の居場所」を強固なものにし、組織の真の力を引き出すために、ぜひこの機会に、経営指針書と真剣に向き合ってください。
私たちSANNETは、その「戦略的な立ち止まりの時間」と「客観的な壁打ち役」をご提供いたします。
 

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