「はやぶさ2」プロジェクトマネージャに学ぶ混迷期を突破するリーダーシップ


夢溢れる壮大なプロジェクトを支えた津田流チームマネジメント

はじめに

小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の地表物質を採取し、持ち帰ることに成功した小惑星サンプルリターンミッションのニュースに湧いたのはつい先日のことです。
 
太陽系の歴史や生命の起源の解明に迫るとも言われている夢溢れる壮大なプロジェクト。
 
約600人の多国籍のスペシャリストたちで構成されるプロジェクトチームの一大プロジェクトを若干39歳の若さでプロジェクトリーダーとなり牽引された津田雄一さんのインタビュー記事を拝読しました。
 
そこには、プロジェクトを成功へ導くためのチームマネジメントに関する津田さんなりのリーダーシップが溢れていて、とても感銘を受けました。
そして、それと同時に、津田さんのリーダーシップから学ぶことも多く、たくさんのビジネスリーダーの参考になるのではないかとも感じました。
 
今日は拝読した記事から私自身が感じた事の感想を交えながら記事にまとめてみました。
 

はやぶさ2ってどんな小惑星探査機なの?

小惑星探査機「はやぶさ2」
・大きさ;約1m×1.6m×1.25m(探査機本体)
・重さ;約609kg(燃料込み)
小惑星「イトカワ」の探査で使われた初代はやぶさを改良されて作られた2代目の探査機
 

 
 

どんなミッションだったのか?

小惑星の地表物質などのサンプルを持ち帰ることを目指すミッション。
今回は地球から3億キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」の地表物質を持ち帰ることをミッションとした。
 
惑星の起源だけでなく宇宙の歴史や地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求するミッションになります。
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「はやぶさ2」のミッションの詳細についてはこちらからどうぞ
 
 

「はやぶさ2」が成し遂げた世界初となる7つの偉業

「はやぶさ2」が今回のミッションにおいて成し遂げた世界初の偉業が7つもあるのだそうです!!

1,探査ロボットによる表面移送探査
 
2,そのロボットが複数(現実は4機)あったこと
 
3,着陸精度が60cm
  *地球から3億キロ彼方に離れた探査機をほぼ誤差なく操作
 
4,人工クレーターをつくったこと
 
5,複数回着陸
  *1つの天体に対し1つの探査機で複数回着陸させたことはなかった
 
6,小惑星の地下物質の採取にも成功した
 
7,複数の人工物体を同時に小惑星周回軌道に投入したこと
   &史上最小となる物体を人工衛星化したこと
 
宇宙に詳しくない私でもこうして聞くだけでも「すご~い!」とうなってしまう。楽しそうと思ってしまうことをドンドンとチャレンジされ仲間と成功された、日本人としてとても誇り高く感じます。
 
 

成功の扉をひらく・プロジェクトリーダー津田さんに見るリーダーシップ

津田さんの今回のインタビュー記事でまず私が津田さんに抱いた印象は「なんてバランスのとれた思考をされる方なんだろう~」ということです。
 
それは津田さんの信条とされている「仲間を信じ、童心を忘れず、科学に徹する」と言う信条に凝縮されているように感じました。
 

 
 

揺るがない人間観「自分たちはできないということを自覚する」

インタビュアーの「物事を成就する人とそうでない人の差ってどこにあると思いますか?」と言う質問に対して津田さんは「自分たちは出来ないとちゃんと自覚すること」とおっしゃっています。
また、我々はパーフェクトな完璧な人間じゃないよね。人間はミスするもの」とお答えになられています。
 
これは津田さんの根底にある人間観だろうと感じています。
このことについて私はとても共感ですし、同感です。
研修や経営サポートで真っ先にお伝えしているのがこのことでチームマネジメント(チームづくり)の原理原則となります。
 
人は完璧な存在ではないが、今ある姿こそが完全な存在。
故に、そんな自分を許し、他者を許す「許し」が大事です。
「許し」を受容することで「自己肯定」「他者肯定」が出来ていくのようになります。
 
その上に立って、完璧でない者同士が互いにより丁寧に過信せず成功に向け工夫やアイデアを出し合い協働し、貢献することこそがチームに成功をもたらすのです。
そのことをリーダーがまずしっかり土台に据えること、強く信じることがチームへと波及していくのだろうと感じます。
 
 

論理性と心、対局する2つの軸を合わせ持つ

この人間観を土台としてリーダーである津田さんから感じられたことは、
情熱
夢を語り続ける
誠実に接する
 
そして、
子どもような遊び心やゆとり、枠にとらわれない発想やアイデア
 
何より科学者としての論理的思考力。
筋道を立て、道理や摂理に基づき物事の判断を下すこと。
決して、自分の感情や気分などを加えないこと。
原理原則を知っておられるのだろうと感じました。
 
例えるならば、リーダーが持つべきリーダーシップとは「山の頂上から全体を見渡す、一段高い視点」。
ひょっとするとこのことを視座を上げると言うのかもしれません。
 
 
そうしたことから冒頭、津田さんに対して抱いた印象を「バランスのとれたリーダー」と言う表現を使いました。
動と静。
論理性と心。
それは、経営やマネジメント、リーダーシップに最重要と言われる
理と情です。
対局する2つを併せ持っている方だなぁという印象でもあり、とても憧れを抱き、ぜひ機会に恵まれるならば一度お目にかかってどのようにして今の津田さんになられたのか?をもっと訊いてみたいと好奇心が溢れかえります。
 
 

津田流チームマネジメントの極意

津田さんが語ったチームで仕事をする意味についてこう話されています。
「一人でひらける運命って高が知れている。仲間と共に進めばもっと大きな運命の扉をひらくことが出来る」
 
私の大好きな言葉。
『早く行きたければ、ひとりで行け。
 遠くまで行きたければ、みんなで行け。』
 -If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.